東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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ルパパトショック2

 『ジオウ』第3話をようやく見たのですが、中澤監督が持っていかれたーーーーーー!! メイン監督だった『エグゼイド』編の参加という事で、とんぼ返りで戻ってきたりしないものか。或いはトレードという事で一度、上堀内監督を戦隊に派遣してもらえないものか。

快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』感想・第33話

◆#33「僕らは少年快盗団」◆ (監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
 見た目は天使、頭脳は小悪魔、少年快盗カイリ!
 「あざとい……魁利あざとい」
 「自分の武器を、最大限に利用している」
 子供になった自分の容姿を利用して年上のお姉さんを籠絡する、という戦隊レッドとしては悪の金字塔を打ち立てた感のある夜野魁利メンバーですが(赤くなければ、蒼太さんとか蒼太さんとか蒼太さんとか過去にも問題メンバーは居た気はする)、これはもう、圭一郎のスタンド化した勝利兄貴により6P見開きで「ふしだら ふしだら ふしだRAAAAAAAA…………ッ!!」と千の拳を叩き込まれても文句は言えない。
 「やっぱり快盗と手を組むって、難しいんですかね」
 「んー、認めるわけにはいかないネ。平和を守るには、我々国際警察が、信用されなければならない」
 「はい。非合法な存在である快盗と、おおっぴらに付き合いがあったら、大切な信用がガタ落ちになるかもです」
 「そもそも快盗の目的が不明だしな」
 冒頭、前回を振り返る形で改めて“警察視点の快盗”の立ち位置が示され、敵の敵は味方ではない事が確認されるのですが、露骨に情報を分断しているノエルへの警察からの好感度が上がらないわけです(笑)
 そして、快盗にとってはルパンコレクションを回収完了すれば役割は終了(の筈)だけど、国際警察はギャングラーを殲滅したらハイ解散するわけではない、というのも両サイドの世界に関わる位置づけの違いとして対比。
 潜入捜査官という建前の仮面を外したノエルが口にした、“快盗としての目的”を思い返す圭一郎だが、そこにギャングラーが出現。一足先に接触していた快盗は、竜巻コレクションによる攻撃をビニール傘でスタイリッシュ回避するが、鳥の巣ギャングの特殊能力を受けて、女の子にじゃなかった、子供になっちゃったーーー!!
 そこに遅れて駆けつけた銀Xがギャングの相手をしている間に、3人は無人となった手近のフリマから子供服を拝借し、“警察視点の快盗”が改めて示されたエピソードで、快盗に窃盗行為を行わせるという展開が実に巧妙。
 国際警察も現着してギャングは一時撤退するが、咲也は現場でとんでもない物を発見する。
 それは、快盗のVSチェンジャー。
 文字通りに目と口を丸くしたノエルの、(ええええええええっ?!)という表情が素晴らしかったです(笑)
 「やばやば! 私がさっき落としちゃったんだ!」
 初美花、元に戻ったら一週間、ゴミ出し係決定。
 「それは、応酬すべき証拠品だね。僕が預かろう」
 気を取り直してしれっと確保しようとするノエルだが、伸ばした手を圭一郎にむんずと掴まれる。
 「そうは行かん」
 「ノエル、おまえ快盗に渡すつもりだろ」
 先輩二人の対応を見て、素直に渡そうとしていた銃を胸にかかえる咲也、小芝居がおいしい(笑)
 「おまえは俺と一緒に逃げたギャングラーを探しに行くぞ。来い」
 ノエルは圭一郎に襟首掴んでひきずられながら、物陰の3人に無言で必死の謝罪のサインを送り、かくして中身そのまま見た目ちびっ子となった3人の快盗は、VSチェンジャーを取り戻すべく、迷子をよそおって咲也とつかさに接触する事に。
 あくまで生真面目な透真・即興であざといアドリブを駆使する魁利・あまり役に立たない初美花・ころっとほだされる咲也・自分の中の欲望もとい頬すりすりセンサーと葛藤するつかさ
 の5人にジムとヒルトップを巻き込んでのVSチェンジャー争奪戦が国際警察で繰り広げられ、目的の為には他人の善意に付け込み、平気で嘘をつく事をいとわない快盗が、コミカルな演出・相手が国際警察・3人の見た目が子供、という三重のクッションで目くらましをしているも、やっている事はかなり悪辣、というえげつないエピソード。
 見方を変えれば、普段の3人はなるべく他人を傷つけない為にも己を鍛えており、今回は子供にされたという非常事態でやむを得なかったとも取れますが、やむを得ないなら一切の躊躇をしないのが快盗であり、そして一体、どこからどこまでが“やむを得ない”のかという、快盗の危うさも問われているといえます。
 そしてこれはまた第30話において、誰かを助けようという善意からとはいえ、やむを得ないからと合理的な“嘘”をついた魁利の姿に反響している、というのが痛烈(勿論、人を救う“嘘”というのもあるのでしょうが、魁利が目指しているものはそこにはないわけで)。
 一方、チェンジャーの件があるにしてもどうしてノエルを強引に同行させたのかと思ったら、圭一郎は二人きりになって改めて、ノエルを問い質していた。
 「おまえとルパンレッド達の目的は一緒なのか? コレクションを全部取り返すと、何が起きるんだ?」
 前回はノエルから一蓮托生のような決闘の申し出がありましたが、圭一郎はノエルが快盗も手玉に取っている可能性を頭の片隅に入れているようで、シビア。……まあこの場合、素直にノエルと快盗が緊密だと捉えたほうが実情に近く、実際以上に状況を複雑化しすぎて疑心暗鬼に陥っているともいえるわけですが、キャラクターの頭が良い為にかえって正解に辿り着けない、というのは戦隊シリーズとしてはかなり珍しい作劇という気がします。
 「…………悪いけど、その質問には答えられない」
 「また都合のいい守秘義務か?」
 「それだけじゃないよ、圭一郎くん。僕たちも何が起きるのか、ハッキリとわからないからさ」
 ノエルが何やらとんでもない事を言い出し、やはり一番ヤバいのはルパン家か国際警察(下手するとズブズブで真っ黒)なのではないか、という疑念が膨れあがる中、つかさ先輩の引き出しには何故か、折り紙セットが常備されていた。
 丁寧に目線を合わせたり端々に子供好きが窺える咲也はともかく、つかさは可愛いもの好きでおうちにお持ち帰りしたい人なので、咲也より先につかさ先輩が逮捕されないか、大変、心配です! ……は冗談としても、演出はちょっと危ういラインというか、魁利から仕掛けたというエクスキューズはあるにしてもデリケートな部分に無造作に踏み込んでしまった感はあり、扱いはギャグとはいえこれが男女逆だったらハッキリNG出そう、という描写は手前でブレーキ踏んだ方が良かったかな、とは思わなくもなく。
 魁利がつかさを引きつけている間に初美花と透真はかくれんぼを利用してヒルトップの引き出しからVSチェンジャーを取り出し、鬼ごっこと称して外へ。咲也の追跡を振り切った透真が脱出に成功したと思われるもボスキャラ(つかさ)に回り込まれて絶体絶命に追い込まれるが、妙にぎこちない動きと喋りの魁利@快盗マスクが現れてチェンジャーを奪って飛び去っていく。
 ……地味ながら、つかさ先輩が魁利少年を振り切って仕事を取って、ホッとしました(笑)
 圭一郎とノエルはギャングラーと遭遇して「「警察チェンジ」」。違和感大盛りの二人名乗りで魂の分厚さを見せた金Xは、いつものようにガードしようとした1号に迫るホーミングちびっ子弾を撃墜してかばい、前回の決闘から今回は共闘へ。
 「あれを喰らうと、子供になるんだ」
 ……まあ圭一郎は、子供のまま変身できる系っぽい気はしますが。
 アクロバットな回避を続けるも1号がホーミング弾に追い込まれた所に2号と3号が駆けつけ、怒濤のコンビネーション攻撃に銀Xが参加してコレクションを回収すると融合ストライク。これにより被害に遭った人々は回復し、ジュレでも快盗達が元の姿に戻ると、チェンジャーを奪って逃げた魁利@快盗マスク、そして子供の3人を母親と称して迎えに来たつかさ@そっくりの母、に変装していたコグレが種明かし。
 「これも、コレクションの為ですから」
 とルパン家の為なら女装も辞さない事をアピールし、戦隊女装伝説に新たな1ページを刻むのであった! ……コグレの変装はどうも便利スキルすぎて面白みには欠けるのですが、まあこれはコミカル要素と割り切るべきか。
 前回の敗戦を引きずってか物凄くだるそうなゴーシュに巨大化された鳥の巣ギャングラーは、パトカイザートレイン、そしてバイク&クレーンと、Xスラッシュの連係攻撃、更にガンナーの集中砲火からクレーンで吊ってドリルで貫くを受け、爆散。テンポ良くパトカイザーのギミックをつぎ込んできましたが、今後を担う演出陣の中で、竹本監督の後継ポジションになりそうなのは加藤監督なのかな、と思うところ。
 「「申し訳ありません!!」」
 「責任は、私二モある。……鍵をかけたツモリダッタンダガ。……一緒に始末書カコウ」
 今回気になったマイナス点を一つあげると、幾らなんでもヒルトップのVSチェンジャーの扱いが杜撰すぎる事だったのですが、内心(あー、張り切ってるとこ悪いケド、どうせ上に渡したらいつの間に快盗の手に戻ってルンだろうナー)とか思ってたりもしそうで、国際警察の闇は深い。
 そして、これまで触れた記憶のない「始末書」という単語が出てきたのは、今回の裏テーマが法と倫理と責任、であった事の示唆のように思えます。
 「……私もですよね。あーっ! 優秀な私とした事がーーー」
 我がパーフェクトな経歴に傷を付けるとはおのれ快盗許すマジ……この時、ジムが本部に申請して受理された追加装備:デストロイシステムが後にW戦隊を救う事になるとは、この時はまだ、誰も知るよしが無いのであった……(嘘予告)。
 「でも、迷子の子供達は親御さんに会えたんだろう? その点については良かったじゃないか」
 別行動だった圭一郎がリーダーらしいフォローを入れ、さすがに悪いと思ったのか、一連のやり取りを後ろで見ていたノエルがジュレでおごりを宣言。歓迎する魁利達の妄想イメージをつかさが打ち消して、つづく。
 私は全くツボが無いのですが、子役というのは受け手にも作り手にも、もっと子役を! という一定の魔力を発揮するのがパターンらしく、恐らくはそんな需要に応えつつ、快盗サイドの夏休み?なりのスケジュール調整に利用したと思われるエピソード。
 ルパンレンジャー変身後は一切登場せず、子役に声を重ねるアフレコも最低限。最後のジュレがノエルの妄想だったのも、絡みのシーンを撮影せずに済ます都合だったと思われますが、面と向かったつかさへの魁利の反応、は見たかったのでそこは惜しい(笑)
 表向き明るく楽しい一方で、子役を煙幕に快盗の抱える負の面が炙り出されて物凄く性格の悪いエピソードなのですが(なので快盗の好感度対策として誓いのシーンが改めて挿入されている)、そんな中でコグレの変装による美人母モードも含め、若干のやり過ぎもありつつ、つかさの可愛げを見せる方向で扱いが良かったのは、第32話での台詞の振り分けに続いて、第31話で割を食った分の穴埋め意識があったのかもしれません。
 次回――立て続けの新アイテム攻勢で、マシンが叫ぶ~~ 狂った朝の 光にも似た~~~~~