『ウルトラマンガイア』感想・第3話
◆第3話「その名はガイア」◆ (監督:高野敏幸 脚本:小中千昭 特技監督:神澤信一)
アルケミスターズとはなにやら、世界中で同時多発的に生まれた天才少年少女達である、という説明が加えられ、「根源的破滅招来体」というキーワードが登場。パイロット版よりは明確に用語の説明が入ったものの、引き続き、断片的な情報を小出しにして、少しずつ世界の輪郭を見せていくという手法です。
「戦い方を、僕は、無意識に知っていた……。光子の力、光の刃……フォトンエッジ」
夜間、シグのオペレーションルームでガイアの戦闘記録映像を見ていた我夢は、おもむろに、
必殺技の名前決定。
そして、シャドーうにょんしているところを、オペ子ショートに見とがめられ、今回も気まずい! あと10秒ほど遅かったら、夜中に、基地で、気合いを入れてポーズを取りながら、「フォトンエーーーッジ!!」と絶叫しているところを目撃されてしまうところでした!
幸い、オペ子の注意は映像のウルトラマンに逸れ、話題は「ウルトラマンとは何者か」に。
「根源破滅の危機となった今、彼は現れた。地球自身が遣わしたんじゃないかなって、そう思うんだ」
「まるで、地球が生き物みたいな言い方だね」
「そういう考え方もあるんだ。……地球はガイアっていう生き物だっていう」
「ガイア?」
「巨人の名前……ウルトラマンガイアってのどうかな」
折角、女子が、興味を持ってくれたのに、選択肢を間違えて視線が氷点下に!
それはまあさておき、そういえば無かったウルトラマンの名称(仮)がガイア理論をベースに決まり、第1話で我夢が自分の研究を進めると「地球と会話できるようになるかも」と言っていたのが、きっちり伏線として機能。一応まだ仮定段階ですが、ウルトラマンが異星人ではなく地球遺志の力、というのは歴代でもかなり珍しい設定でしょうか……?
17歳で量子物理学の博士号を獲得した天才・高山我夢(20)は科学分析担当として正式にシグの一員となると、自室でオリジナル装備の開発にいそしみ、光電子管の中に収納していた光を、それに移動。
ここでようやく、第2話感想でαくんさんにいただいたコメントの意味を理解したのですが、ベーターカプセル似のアイテムで変身するのは第2話限定のスペシャルだったようで、成る程それに実物使用は非常に贅沢。確かにまあ、これ、変身アイテム玩具どうするのだろう……? と思っていたのですが、主人公が改めて制作するという形で、科学者型ヒーローの特性を披露。
拳に填めるタイプの変身アイテム・エスプレンダーの完成を喜ぶ我夢だが、僕の格好いい決めポーズの反復練習中にエマージェンシーが発生。未知の飛行物体が観測されてシグの出撃が決定し、ファイターだと航続距離が足りないので、ベースキャリーにファイターを積んで現場まで輸送する、という細かいディテールの描き方にこだわりが見えます。
「コマンダー、あの我夢という子をどうするつもりだね。科学分析なら、ジオベースのラボにだって」
「この地球を一体、何が襲おうとしているのか、それさえも見極められず、我々は戦いを始めています」
「それは……そうなんだが……」
「根源的な破滅……光量子コンピュータが予想しえたのは、そこまでです。アルケミスターズの一人が、このエリアルベースにいます。その事は、決して無駄ではありません」
大人同士の言葉を絞ったやり取りの中で情報を断片的に示す、という手法が渋いですが、その中に組み込まれた、劇中の人類が置かれた未曾有の危機的状況の表現が、切迫感に説得力を持たせて格好いい。
ピンチの ピンチの ピンチの連続 そんな時 ウルトラマンが欲しい
主題歌、最初に入りを聞いた時は何事かと思ったのですが、すっかり耳についてしまいました。
一方その頃、TV局では謎の男が、アナウンサー女性にやや変質者気味に声をかけていた。
「ウルトラマンか……いい名前だ」
「誰?」
「振り向くな! TVの人に言っておきたかったんだ。ウルトラマンの姿、世界にあますところなく伝えてほしいって」
謎の男は顔を見せぬまま姿を消し、出撃したベースキャリーは東京へ向かう謎の金属生命体を阻止するべくチーム・ライトニングを出撃させ、今回は砂上の空中戦という趣向。
3機編隊によるコンビネーション攻撃を見せ、急降下攻撃で金属生命体の撃墜に成功するチーム・ライトニングだが、鋼の巨人に変形した生命体の反撃により、3号機と2号機が立て続けに離脱を余儀なくされてしまう。
(こいつは……ウルトラマンの姿を、宇宙のどこかで見ていたんだ。だから、東京に向かって)
金属生命体がウルトラマンの姿を真似ようとしている事に気付いた我夢は、今回もこっそり離脱するとベースキャリーのハッチを開け、第3話にしてダイビング変身。
「この星は、滅びたりしない!」
何かと前のめり気味な我夢ですが、アルケミスターズの一員として破滅の到来を予期し、その対策に関わってきたからこそ、現実の災厄を前にそれを食い止めようとする義務感と責任感を人一倍持っている、というのが巧く繋がっています。
本日は大人しめの着地から波動関数キック! そして、量子エンタングルメントスローを放つガイアだが、立ち上がった騎士巨人は、攻撃に適応したかのように装甲を強化。見た目に反して打点の高いハイキックは辛うじてかわずガイアだったが、量子エンタングルメントスロー返しで投げ落とされてしまう。
スターラボで武者修行を積んだ量子物理格闘術を真似られて対応が後手に回るガイアに対し、騎士巨人は分裂すると複数の槍状に変形する豊富な攻撃パターンを見せ、その槍の輪の中にガイアを閉じ込める。熱線であぶられて窮地に陥るガイアはキャリーの援護射撃で脱出するも地面に倒れてしまい……今回、ガイアと怪獣の睨み合いを上空からの視点でしばらく撮り続けるなど、戦闘シーンで非常に間を重視する演出になっているのですが、好みとしては少々長すぎ。
特にここが最も顕著なのですが、脱出してからふらついて倒れるまでに間を取り過ぎて、むしろ緊張感を削いでしまった印象。
胸のタイマーの点滅はエネルギー切れのサイン? とシグの認識を通す形で説明され、再び合体した騎士巨人に対し、とにかく手から光線を撃ってみるガイアだが、倒れたかに思われた騎士巨人は悠然と立ち上がる。一方のガイアはエネルギーを使い果たして倒れ込み、迫り来る串刺しの危機……だがその時、青白い光線が騎士巨人を貫いて一撃で粉微塵にし、振り返ったガイアが目にしたは、もう一人の青いウルトラマン!?
青い巨人は無言で砂塵の中に姿を消し……つづく。
終わってみれば予告で見せすぎ案件でしたが、この話数で初登場という事を考えると、そもそも当時「二人のウルトラマンが登場する」事を番組として事前に売りにしていたのでしょうか……? 謎の黒服は明らかに青い巨人の正体でしょうが、ここからどう絡んでくるのか、楽しみです。映像としては、鋼鉄巨人の強化や変形が格好良く、それを謎のウルトラマンの踏み台で消費してしまうのが、大変贅沢。
次回、あっさりとフェードアウトするのかと心配していた大学のお友達が関わってくるようで、我夢の背景として拾っておいてほしい要素だったので良かった。