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うにょにょにょん

ウルトラマンガイア』感想・第2話

◆第2話「勇者立つ」◆ (監督:村石宏實 脚本:小中千昭 特技監督:佐川和夫)
 「負けない! 僕は、ウルトラマンなんだ!」
 いまいち戦い慣れないながらも巨大生物に挑むガイア(我夢)が、小刻みに震えながら(武者震い、と見たい)構えを取る、というのが状況・心情・新たなウルトラマンの誕生、を合わせて示して、巧い。
 初陣のガイアは果敢に接近戦に持ち込むと、
 素因数分解ラッシュ!
 電子スピン共鳴キック!
 ハイゼンベルク運動方程式チョップ!
 と次々繰り出し、物理学者舐めんな! と連続攻撃を浴びせるが、怪獣舐めんな! と光線をぶつけられてひっくり返ってしまい、大ピンチ。マウントからの攻撃にあわやのその時、謎の空間で見たうにょーん光線を思い出すと(我ながら、変な語感が第一印象で固定されてしまった……)、間一髪で跳ね起きて、後頭部にエネルギーを溜めて、うにょぉぉぉん!
 立ち上がってから、怪獣の連続光線を打撃で砕くアクションと映像が格好いいのですが、必殺うにょーん光線が炸裂すると、怪獣がアップになった顔面から弾け飛ぶ映像が、今見ると一部洋ゲーノリなゴア表現に見えて、思わず笑ってしまうえぐさ(笑)
 (※現在プレイ中の『フォールアウト4』が、まさにこういう感じで仕留めた敵がバラバラに吹き飛ぶのですが、グロテスクというよりもブラックジョーク的な効果になっているという)
 カラータイマーの鳴ったガイアはその場で縮小して我夢の姿に戻り、我夢は廃墟で見つけた小さな光を手元の真空管のようなものに回収する(前回冒頭で登場した装置のパーツだと思うのですが、なんだったかは忘れてしまいました(^^;)。
 地上へ降りてきたチーフに質問され、とりあえずガイアの事を誤魔化した我夢は、その飛行機に同乗して空中要塞――エリアルベースへと向かうと、コマンダーに対災厄防衛組織シグへの入隊を希望するのであった。
 「僕をシグに入れてください! 僕はここに入るべきなんです。いや、入りたいんです」
 我夢は、前回、大学の友人がちらりと口にしていたアルケミスターズ(詳細はまだ不明だが、若き天才集団?)の一員であり、シグを支える超技術の開発に関わっていた事が、シグの人々に認識されるという形で視聴者にも明確に伝えられるのですが、今作パイロット版の大きな特徴といえるのが、全ての情報が視聴者に対して断片的にのみ提示され、詳細な説明シーンが存在しない事。
 しかも主人公は初期から多くの情報を持っていて説明をされる立場では無い為、端から見ていると主人公の言行が極めて突飛という事になっているのですが、その作劇でも視聴者がついてきてくれるだろうという、映像スペクタクルへの信頼が見て取れます。勿論、それだけの予算をかけている、という事でもあるのでしょうが。
 その上で、納得している人達だけで話を進めず、リアリティの補強+“世界の急変についていけない人達”を代表する視点として、随所に円谷ディレクター+カメラマン+レポーター、のTVクルートリオの姿が挟み込まれている、という構造は、(『ティガ』『ガイア』に続く3作目という洗練もあるのでしょうが)丁寧かつ秀逸。
 防衛隊から転属してきたエースパイロット達のプライドなど構う事なく、あっけらかんと六角ファイターの操縦方法についてアドバイスを送る我夢は反発も買うが、シミュレーターで高得点を叩き出す事で一定の評価を勝ち得、特に訓練も受けていない筈なのに対G適性が高いのは、ウルトラマンとシンクロしているからなのでしょーか。
 ところがハイテンションの我夢は調子に乗りすぎてGによるブラックアウトでも起こしたのか、シミュレーターの中で再びうにょんうにょん空間に入り込み、そのウルトラマン接触
 「君は今、僕の中に? 君は、僕なんだね? 破滅を招くものから、地球を守るもの。だから僕は、シグに入ったよ。でもウルトラマン、君は、どこから着たの? 君は、誰?」
 明らかに神秘体験のトリップ中で、ドキドキします!
 世間では、極秘に整備されていた地球防衛連合の存在が公表され、我夢はシグへの入隊を認められる事に。
 「破滅を招く存在が、ついに現れてしまった。もう僕は、研究室にこもってるなんて、我慢できない」
 「そうか、頑張ってくれ」
 アルケミスターズの同輩らしきダニエルくん、超クール。
 オペレータ-女子ズに挨拶をするも、最初のクレーム電話の印象が悪かったのか、ショートカットの方にはすげなくされてしまう我夢だが、気まずい空気を打ち破り、地下から新たな巨大生物が都市に出現。
 「僕たちがまだ知らない種族の巨大生物が存在した、と考えるべきでしょう」
 「それが今なぜ甦る?」
 災厄は宇宙から飛来するばかりではなく、ウルトラマンが倒した怪獣には、地球に眠る災厄を目覚めさせる機能があったのか……? と、疑問を呈する形で、今作における怪獣存在の出現パターンを提示。最初の宇宙怪獣は地球に対する刺激物であり、そもそも地球には幾つもの災厄が眠っていたという可能性が示唆されて、興味を引きます。
 対するシグからは六角ファイターのみならず地上兵器の六角タンクが送り出され、次々と戦闘メカが登場するのも今見ると豪華。特に、戦闘メカはファイターだけだと思っていたので、タンクの登場は個人的に嬉しい。
 地上からの攻撃でひっくり返った怪獣にファイターが追い打ちをかけようとするも腹部に隠されていた熱線口が開き、緊急退避。どさくさに紛れてこっそり地上に降りていた我夢は無差別熱線攻撃に巻き込まれるが、タンクに守られて難を逃れ、巨大なタイヤの陰から姿を見せる我夢、というのが巨大兵器と人間の対比がびしっと決まって、今回の一番好きなシーン。
 戦闘メカが足下の人命を守る、というシチュエーションもグッと来ますが、我夢の生死を心配する基地のシーンを挟んで、人格への好き嫌いはともかく命の心配はしてくれるシグクルーの人間性が示され、一方で怪獣の破壊活動にTVクルーがぽつりと「地獄みたいだ……」と呟く視点も忘れない、と濃厚な情報量でぐいぐいと攻めてきます。
 ところで、我夢に対する好感度が-100から始まったショートカットのオペレーターさんは事あるごとに我夢を「子供」「子供」と言ってもはやフラグを立てているようにしか見えないのですが、2クール目頃にはデートイベントとか発生したりするのでしょうか?!
 「坊や、すぐ離れろー!」
 怪獣が進撃を再開し、ぶっつけ本番の出撃前にコ・パイロットと拳を打ち合わせて気合いを入れたり、命令違反の単独行動まっしぐらの我夢に配慮したりと、叩き上げ感溢れるタンク部隊長がなかなかおいしい。
 「僕が今は……ウルトラマンなんだ」
 迫り来る怪獣に対し、自らに宿る光の力を自覚した我夢は、光量子カプセルを取り出して変身。今回も苦戦するが連続バック転キックから反撃すると、ファイターの援護射撃が腹部の熱線口に突き刺さった隙を突いて必殺うにょーんビームを炸裂させ、今回2回目のゴア爆殺。
 立ち上がりである程度仕方ない役割とはいえ、役立たずで撤退→我夢に反発して憎まれ口、のファイター隊長がいい所なしだとあんまりだったので、戦闘経験の少ないガイアを助ける殊勲の一撃、というのは良いバランスでした。
 ガイア(我夢)は格好良く飛び去る事を覚え、
 「ウルトラマンか……」
 にっこり笑ってその背に好意的な敬礼を送ったチーフは、地上の我夢を回収に向かうと、きつーいお灸を据える事を宣告。色々と詰め込みすぎて尺が足りなかったのか、第2話にしてEDの8割ほどに本編が侵食し、帰還シーン(主に、お仕置き予告シーン)が描かれて、つづく。
 おらおらアルケミスターズの天才科学者様よー、シグ名物、根性プロティンマラソン3時間コースで、来週から君もマッスルだ!
 そう、筋肉は、光量子コンピューターすら越えて真理に辿り着く為の手段だから!(『ビーファイター』理論)
 天才科学者がウルトラ魂に触れるのと、昆虫・植物・動物学者が昆虫魂に触れるのは似ているのではないか、という不穏な疑問は置いておいて、敢えて整理した説明をしないまま突き進む、という大胆な構成のパイロット版でしたが、20年後の今見ると、端々のお金のかかり方に目を奪われます(笑) 実際、当時でもかなりの規模の制作費を投入した上で、番組自体は好評にも関わらず円谷プロの慢性的な経営問題に更なる拍車をかけてしまった作品との事ですが、それはまあ忘れて、今後もどんな映像を見せてくれるのか、楽しみです。
 次回――早くも第二のウルトラマン?! OPから明確に存在してはいるのですが、ちょっと驚き。