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ウルトラマンルーブ』感想・第9話

◆第9話「ウルトラマンの名のもとに」◆ (監督:辻本貴則 脚本:小林弘利
 兄弟に完封勝利を収めた愛染は余裕綽々で帰還すると、早速ヒーロー活動を初めてニュースになり、有頂天。
 「明日は世間にお披露目だ。今、新たなウルトラ伝説が、幕を開ける」
 というところでアイゼンテックのロゴが大写しになっていて今更気付いたのですが……これ、もしかして、アベンジャーズタワーのマークを元ネタにしているのでしょーか。
 「私こそが、ウルトラマンだ」
 は、
 「私がアイアンマンだ」
 のパロディでもあったのか?
 一方、女子高生がオーブダークをチヤホヤしているのが気に入らないイサミを、たしなめるカツミ。
 「いや、俺たちは苦労も努力も足りてない。俺たちは突然力を与えられて、行き当たりばったりに怪獣を倒してただけだ。あの黒いヤツみたいに、事故が起こるのを未然に防いだ事なんか……一度だってないじゃないか」
 あんな変なのに言いがかりで因縁をつけられ、一方的に殴り倒された後に、むしろ手本として前向きに反省できるカツミ、魂の厚みが凄い(笑)
 災害を未然に防ぐなんて予知能力でもなければ無理だ、と真っ当に愚痴る弟だが、魂の分厚い兄は、特訓で直感力を鍛えようと斜め上の方針に飛びつく。
 「訓練……いや特訓だ。特訓で直感力を高めるんだよ」
 「またかよカツにぃ……ホント特訓好きだよな」
 なんだかんだとイサミも兄に付き合い、兄弟は山で特訓をスタート。「愛」と書かれたボールをひたすら段ボールの人形目がけて投げ込むカツ兄、まごうことなき職質案件再び。
 翌日、特訓の見物に来たアサヒがきっかけで新たなウルトラメダルを手に入れた兄弟は、オーブダークの人助けが愛染による出来レースだと知ると、怒りのままにアイゼンテックへとウルトラ殴り込み。
 「ヒーローになりたくて事故をでっちあげたのかよ?!」
 「私は人々が求めてるものを与えただけだー。人々には、ヒーローが必要なんだよ。闇を砕き、光を与えてくれる存在が」
 世間の支持を集める為の自作自演に全く悪びれないオーブ愛染は兄弟の糾弾に対してむしろ堂々と胸を張り、高速飛行→着地から、振り返りざまの八つ裂きカリバーは格好良かったです。
 ウルトラマンとして世間に認知されたヒーローとなり、チヤホヤされようとするオーブ愛染が、ただの行きすぎたヒーローマニアなのか、“その先”に邪悪な狙いがあるのか現時点では不明ですが、「大衆の声望を得ようとする偽のヒーロー」というのは転がし方次第で十分に面白くなるプロットなのに、執拗に繰り返されるセルフパロディが面白さというよりはノイズに感じてしまい、オリジナルで展開できなかったものか、というのはどうしても思ってしまうところ。
 まあ、「仮面ライダーの敵は仮面ライダー」を繰り返している内に仮面ライダーの怪人化が進行しすぎてしまい、仮面ライダーである事の意味づけと魅力が飽和状態に陥ってしまう、という場合もあるので、「ウルトラマンの敵はウルトラマン」を行うに際して、過去ヒーローの表層を真似る方がシンボルとしては成立しやすい、という効果は確かにあるのですが……。
 「私が、この星を平和にするので、安心して、成仏しなさーーい!」
 再びオーブカリバーの錆にされそうになる兄弟だったが、起死回生のスライディング回避から、コンビ攻撃でダメージを与え、反撃。
 「俺たちはヒーローになりたいんじゃない」
 「俺たちが戦うのは、悲鳴をあげる人がいるからだ!」
 「その人たちの為に戦うんだ」
 「それがウルトラマンってもんだろ」
 ウルトラマンになろうとする愛染が、ウルトラマンの志という最も大事なものを持っていない事を突きつけた兄弟は、ダブル斬撃。
 「だから俺たちは今、そのウルトラマンの名のもとに」
 「「おまえを倒す!」」
 怒りのオーブ愛染のダークストリウムダイナマイトに対して、ビクトリー先輩の力でロッソ:グランドを発動すると、岩石で突進を封じてからの重力エネルギーで地面に叩きつけ、急にカツミが詩的な事を言い出すようになったのは、ビクトリー先輩(どんな人か知らない)の影響なの……?!
 最後は身動きできないオーブ愛染をブル:ウィンドの疾風剣で切り裂き、兄弟は大ダメージを負って地面に転がる愛染に冷たい視線を浴びせると、ダークオーブリングを容赦なく奪い取って帰宅。なんとか会社に戻った愛染はかんしゃくを起こしてメダルをぶちまけるが、その中の一枚を見て邪悪な笑みを浮かべるのであった……でつづく。
 心配された前回以上のメタ展開に突っ込む事は無く(愛染の「SSP」発言とか、色々ありますが……)、初の敗北を経て、兄弟が「ウルトラマンとは何か」を見つめ直し、その“在り方”で悪の理屈を打ち砕いて難敵に勝利するという、ヒーローのステップアップエピソードとしては手堅くまとまったのですが、それだけに、これ別に、メタネタでなくても良かったよね……というのはどうにも引っかかるところ。
 商業的事情なども絡むのでしょうが、愛染が物語の外から思い切り「ウルトラマン」を投げ込んできてしまった為に、兄弟が辿り着く「ウルトラマン」というのも、愛染へのカウンターありき、に見えてしまい、ここまでのエピソードの積み重ねにより辿り着いた印象が弱くなってしまった分、劇的さを減じてしまったのも勿体なく感じました。
 次回、新展開でどう持っていくかで、また印象が変わってきそう。

 ☆今回の怪しいアサヒナビ☆
 ウルトラメダルの声を聞いた気がして山道を進み、ビクトリーメダル発見のきっかけを作る。
 これについてはカツミが(まるでアサヒを使って呼び寄せたみたいにして)と言及しましたが、はたして……。