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引っ越しルーブ2

ウルトラマンルーブ』感想・第2話

◆第2話「兄弟の絆」◆ (監督:武居正能 脚本:武上純希
 早朝4:20に山奥で成人男性が二人並んで
 「「俺色に染め上げろ!!」」
 と叫ぶ、120%職質案件。
 ウルトラマンとしての能力を確認する為、変身して訓練を行う兄弟の姿をコミカルに描きつつ、はじめての飛行、変身時間制限、再変身にはインターバルが必要、という基本事項を押さえた流れは鮮やか。通常の人間の行動から離れた「飛行」を偶然から修得したり(人体に存在しない器官を使う的なアプローチ)、エネルギー切れで戻ってくると時計の表示が……という見せ方も良かったです。
 また、愛染社長の台詞を通して「怪獣」と「ウルトラマン」という単語を物語世界に広く取り込む、という土台作りを丁寧に行っており、とある都市(綾香市)に舞台を限定しながら劇中世界におけるヒーローの定義付けをやり直す、という作劇が<平成ライダー>における『仮面ライダーW』を彷彿とさせますが、“新しい『ウルトラマン』をやる”という意欲が見えて、期待したい部分。
 特に、前作・前々作が、「そこはシリーズのお約束でしょ?」で流し気味だった部分をしっかりと確認してくれたのは、好感度UP。
 「こないだの巨大生物が、最後の一匹とは限らないだろ! 俺たち正体をさらしたら、負けるのは許されなくなるぞ!」
 兄弟はウルトラマンの力をどう扱うかで対立し、前半分に『ゴジラ』オマージュを入れつつ、後半分に力にともなう責任、ヒーローだけをやってられないお兄ちゃんの利己と保身、保守的な一面も含めて、ヒーローが正体を明かさない理由として非常に納得できる所にまとめて、今回の好きな台詞。
 武上さんの脚本作品を見るのはそれこそ『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008)ぶりの気がするのですが、円谷作品への思い入れも含めて、ベテランの技を感じます。
 「あんな巨大生物に勝ち続けるなんて、俺たちそんな重い責任背負えるか?」
 「……でも! 俺たちがやんなきゃだろ?!」
 兄弟が喧嘩別れした後、街に怪獣ブラックキングが出現。避難の中で家族の絆が描かれ、前回は唐突にラストに登場するだけだった妹アサヒを介して、兄弟なら戦える、と覚悟を固めるカツミとイサミ。
 「お母さんも、言ってたじゃないですか。一人で出来なくても、二人なら出来るって。兄弟はいつでも、一緒に頑張るんです!」
 「アサヒが教えてくれたな……兄弟はいつでも、一緒に頑張るか」
 「ああ。カツにぃ!」
 もともとの争点は「正体を明かすかどうか」だったのに、正体を明かさない理由としての「勝ち続けられるかどうか」に焦点がスライドした上で「兄弟で頑張れば大丈夫」という結論は、実は問題の根幹が解決していないのですが、とにかく意見の食い違いを乗り越えて拳を打ち付け合った二人は並んで変身。
 前作でもやっていたので2対1のバトルに慣れていないという事はないと思うのですが、どうも戦闘シーンはもたつきが目立ち、あまり格好良くない(エキスパンダー……?)割に長い変身シーンがそれに輪を掛けます。属性クリスタルを共有しつつ個性が違う、というのがWウルトラマンとしての売りなのでしょうが、本人達の申告ほど技の違いが具体的に伝わってこないのは率直に見せ方が悪く、1・2話で兄弟が最初に使うクリスタルを逆にしたのは余計な複雑化だったように思います。
 正直、何がどう「俺に考え」があってフォーム交換したのかさっぱりわからず(やる事は角への連続打撃なので、本当に向き不向きだけ……?)、もう一つ盛り上がれないまま戦闘は終了してしまい、今後に改善を期待したい部分。
 そもそも名前からして赤と青のイメージなのに、属性チェンジすると赤と青が入れ替わる、というのが良くないと思うのですが、ノーマルフォームと各属性フォームを分ける事は出来なかったのか。少なくとも早い内に地と風のクリスタルが入るでしょうから、互いの色を入れ替える以外のバリエーションが入ると、見やすさが大きく変わってくる可能性はありますが。
 人々の感謝の声に充足感を得て飛び去った兄弟は、愛染社長が「ウルトラマン」という名前を口にした事に驚き、更に父と母の交換日記の中に、ウルトラクリスタルそっくりのイラストを見てまた驚く! で、つづく。
 基本設定の確認と合わせて、手に入れた力とどう向き合うのか、というテーゼを1話かけて行い、着地姿勢に疑問はあるものの、立ち上がりに土台を整備する姿勢を見せてくれたのは良かったです。後は、今のところヒーローとしての手順は踏んでいるものの、独自の好感度が生じるまでは至っていない兄弟それぞれの魅力が引き出されてくれる事を期待したい。
 ……それにしても、EDテーマ(歌:三森すずこ)を聞く度に脳内で
 「ヒロインのレム」
 がこだまするので、朝倉リクの罪は深い(真顔)