東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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深淵よりきたるもの

仮面ライダーゼロワン』感想・第22-23話

◆第22話「ソレでもカレはやってない」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:高橋悠也
 「二度とヒューマギアに、手を出すなーーーっ!!」
 荒ぶるゼロワンは始めてサウザーに有効打を与えるも、シャイニングアサルトの力もジャックされてしまい、ファンネル攻撃の打ち合いの末に時間切れ引き分け。
 新たに決定的な証拠を出せぬまま裁判は被告人不利に進み、冒頭これまでにない怒りを見せていたアルトが、バックアップから復帰したビンゴとごく自然に接しているのが、どうにもこうにもドラマ性を削いでしまい、第2部の大変困ったところ(どうして、自分たちで作ったドラマ性の核をポイ捨てするのか……)。
 唯阿は天津の命令により、アークを利用してゼロワンを封じる為のプログライズキーを作成し、すっかり違法行為に慣れてきていて、今なら逮捕されても文句はいえない!
 唯阿の真意はまだ掴めない部分が多いのですが、以前から「飛電を陥れる」事にこだわっているのを考えると、「ヒューマギア開発の功績を飛電に奪われた技術者の娘」で飛電に個人的怨恨がある、とかいった可能性もありそうでしょうか(そのぐらい考えないと、ここまで犯罪一直線なのが理解しづらいというか)。
 一方、天津が絶滅ドライバーを手にしていた事から滅を問い質したアルトは、ゼアからも情報を得てアークのラーニングに天津が関与している事を知り、不破とコンビを組んだビンゴは、事件の真犯人を遂に炙り出す。
 ……前回も思ったのですが、裁判編の何が怖いって、サイバー犯罪でも天津の狂気でも人間の悪意でもなくて、弁護士ビンゴの嘘発見機能。被告人どころか、ある意味、顔に出さないプロである相手方の検事の言動まで相当の自信と精度を持って真実性を担保し、挙げ句の果てにスマホ的なものの画面越しに(相当に画質は上がっているのでしょうが、それでもだいぶ悪条件の筈)本職警察官の嘘を確証を持って見抜くとか、飛電はこのテクノロジーを他の何かに使った方が絶対にいい。
 真面目な話としては、前後編の話を転がす為だけのガジェットとしては「実質精度100%の嘘発見器」は魔法の力が強すぎて、被告人を信じる理由も、検事が犯人でない理由も、真犯人を見抜く手段も、全てビンゴの嘘発見機能を根拠にしてしまったのは、雑になったと思います。ここまでやると、「ヒューマギアが優秀」ともまた違う話になってしまうわけで。
 例えば、ZAIAスペックにも嘘発見機能が付いていて、被告人の発言を嘘と判定していた、とか比較要素があればまた意味が変わったのですが(視聴者にはわかる社長の大嘘を見抜けない、とか入ると一粒で二度おいしい)、ZAIAスペックに対する雑な扱いが、こういうところでも響いている印象。
 真犯人は検挙率を上げる事を目的に犯罪をでっちあげた刑事であり、それを知った検事は「冤罪を生んでしまうところだった」と謝罪するとヒューマギアの優秀さを褒め称え…………んー……食わせ物めいた描写をされていた検事さん、てっきり、警察内部の不審な動きに目を付けていたとかそういう事かと思ったのですが、精査もせずに弁護側の証拠を全面的に認めるとわざとらしくヒューマギアを誉めるだけで出番終わってしまい、裏の事情説明部分のカットなどされたのかもしれませんが、奥行きのない扱いになって残念。
 ……後、そこの不破さん、捜査の可視化どころか明らかに尋問を拷問に変えて自白を引き出しているのですが、A.I.M.S.の敵に人権は無い!!
 活躍も束の間、法廷に乗り込んで気持ち良く衆目を集めている内にキーを奪われる、という大失態を犯す不破だが、その後の変身は格好良く、バルカンは毒々ライオンと激突。そこへやってきてとりあえずライオンを殴ろうとする天津@1000%喧嘩好きだが、その背に向けて怒声を浴びせるアルト。
 「人間の悪意を、衛星アークにラーニングさせたのはあんただろう!!」
 「……だったら? 私はただ事実を学ばせたに過ぎない」
 「そのせいで、滅亡迅雷ネットが生まれた……」
 「人類滅亡の結論を下したのは、アーク自身です」
 「そのせいで! 多くの人が犠牲になった!」
 ……ここで、「多くのヒューマギア」と言ったら、視聴打ち切りしかねないところだったので、本気でホッとしました。
 「つまり、人間の自業自得ということです」
 「ふざけんなぁ!!」
 壮大なマッチポンプについて全く悪びれない天津に対し怒りに任せて殴りかかるゼロワンだが、余裕綽々のサウザーは悦びをもってその反応を受け止める。
 「その怒り……でもそれでいい」
 「なんだとぉ?!」
 「この私を憎み、滅ぼそうとする。――今あなたの心を支配するものこそ、紛れもない、人間の悪意だ」
 見下ろすサウザーに対し、必死に立ち上がろうとするゼロワンの胸部と瞳が紅く輝いた時――それに反応を示すアーク。
 サウザーは動揺するゼロワンを切り払って変身解除に追い込むと、新作キーをゼロワンドライバーに強制的に読み込ませ、その発動によりサウザーさえ退かせる赤と黒のオーラが放たれると共に、銀色のイナゴの群れが飛び回るのは格好いい映像。
 絶叫するアルトはアークと強制的に接続され、深く暗い闇の中に澱む怨念に侵食されると、画面を覆い尽くすような虫の大群がアルトの体を飲み込むようにして外装を構築していき――その姿は、白銀のゼロワンへと変貌する。


 第五の御使が、ラッパを吹き鳴らした。するとわたしは、一つの星が天から地に落ちて来るのを見た。この星に、底知れぬ所の穴を開くかぎが与えられた。
 そして、この底知れぬ所の穴が開かれた。すると、その穴から煙が大きな炉の煙のように立ちのぼり、その穴の煙で、太陽も空も暗くなった。
 その煙の中から、いなごが地上に出てきたが、地のさそりが持っているような力が、彼らに与えられた。
(『口語 新約聖書』/日本聖書協会
 サウザーによって強制的に誕生した新たなゼロワンは、その描写から奈落の主にしてイナゴの王たる天使アバドンを想起させ、シリーズ過去作繋がりとしては『ファイズ』のアークオルフェノクも思い出します。
 コアとなったアルトが制御できないまま、白銀のアークゼロワンから放たれたイナゴの群れはライオンレイダーの全身とバルカンの両腕の装甲を瞬く間に食らい尽くし、微動だにしないままサウザーの攻撃も完全防御。形状変化と超硬化を繰り返す流体金属らしきイナゴの群れは、そのままサウザーを圧倒すると変身の解けた生身の天津さえ貫きそうになるが、横から飛び込んだバルカンがヒーローの腰にしがみつく渾身のヒロインムーヴと思わせてからの究極のゴリラムーヴを発動し、不破諌、遂に、筋肉の力で変身中のライダーからベルトを引きはがす離れ業を達成。
 そして、一連の光景を全て、物陰から唯阿さんが撮影していた(最近の立場……)。
 「ゼロワンが進化した……」
 「ゼロワンじゃない。あれは、別のなにかだ……」
 「はははははは、アークは最高の芸術作品だ。これで我がZAIAのシナリオも、クライマックスを迎える」
 傷だらけの天津社長は唯一人、熱に浮かされたような瞳で勝ち誇って早くもクライマックスを宣言し、謎と混迷が深まる中、お仕事対決は無罪を勝ち取ったビンゴの勝利となるのであった。
 滅が情報源として全開の蛇口すぎたり、手持ちのカードを考えると2周遅れぐらいなものの、アルトがようやく自主的に動いて情報を繋ぎ合わせてくれた上、アークゼロワンのイメージの見せ方が大変格好良く、久々に興奮する展開でした。

◆第23話「キミの知能に恋してる!」◆ (監督:諸田敏 脚本:高野水登
 アークゼロワンの発現以来、ゼロワンドライバーが通常のキーを読み込まずに困り果てたアルトの元に駆け込んできたのは、前回の裁判で知り合いになった(?)、海老井千春。
 結局、元被告人とは婚約を解消した千春(まあ、あれだけ言っていれば自然ではあり)は、弁護士ギア・ビンゴの活躍に感銘を受け、結婚相談ヒューマギアを紹介してほしい、とアルトに持ちかけてくる。
 悲劇の被害者から一転、結婚相手を求めて社長室に突入してくるかなりネジの緩んだ感じのキャラと化した千春ですが、アルトに好意的に接してくれる人間のゲスト、ってもしかして史上初なのでは。
 東映ヒーロー作品的には過去作レギュラー(イエローバスター)であり、現在は声優としても活躍中の小宮有紗を読んだ割には出番少なかったな、と思ったら本番は今回からだったようですが、加えて結婚相談ヒューマギア・縁結びマッチ役には元ブルーバスターの馬場良馬が出演し、突然の『ゴーバス』祭。
 「結婚詐欺に遭って以来、人間不信になってしまって」
 「だから騙されたのではないでしょうか」
 ……えっと、あの、前回、無罪でしたよね……?
 マッチが千春にマッチングしたのはなんと天津社長で、メインライター一休みで初参戦の脚本家×諸田監督でしばらくギャグに振り切れた展開が続き、どういうわけかお見合いに乱入してきたイワトビペンギン的なレイダーとバルキリーが交戦。変身を躊躇うアルトだが、積極的に攻撃してくるわけでもないペンギン相手に苦戦する、すっかり役立たずのバルキリーの危機を見かねてというのは納得できる理由で、イナゴの群れが巨大なバッタを形成し、それがアルト自身を食らい尽くすかのようにしてアーマーを形成するアークゼロワンの変身シーンは今回も非常に格好いい。
 発現したアークゼロワンは前回に続いて無差別イナゴアタックし、ホーネットミサイルも食い尽くすとバルキリーに襲いかかるが、割って入ったアサルトバルカンが斧を振り回すアークゼロワンに今回こそヒロインムーヴならぬ怒りのドロップキック! 続けてゴリラロケットパンチ×2を叩き込み、そのガード硬直中にホーネットが空中ダッシュで懐に飛び込んでキーだけ抜き取り、2話連続のゴリラムーヴが発動しなくてホッとしました(笑)
 「てめぇ、敵と味方の区別もつかねぇのか!」
 つかつかと歩み寄った不破さんはアルトの首根っこ掴んで引きずり倒し、こういう事言ってくれる人は、やっぱり大事。
 「ごめん……やっぱり駄目だ」
 ペンギンレイダーの攻撃で損傷したマッチは魔法のプリンターで修復されると、お客様相談室もとい社長室に怒鳴り込んできた千春の幼なじみ(ペンキ屋)がペンギンレイダーの正体ではないかと行動データから推測し…………ネットワークを通じて情報が共有されていてもおかしくはないのですが、「レイダーの中身は人間」という情報のセキュリティレベルはそれでいいのか。
 こういった部分の雑さがドンドン物語世界の穴を目立つところで広げてしまっているのが、ここしばらくの今作の厳しいところ。
 ペンギンレイダーの正体を炙り出すべく、シミュレーションと称してマッチと千明は結婚式を挙行するが、憤激のあまり途中で退席するペンキ屋を誰も追いかけないので、目が白黒。
 ここ数話の通常営業でアルトが何もかも見失っているのですが、横に立つイズも一緒に奈落の底に引きずり込まれているのが、実に辛い。立ち上がりは期待の高まる良いポジションのキャラだったのですが……。
 式場では、婚活よりもマッチに夢中になってしまった千明に対し、マッチがイズ直伝の「人間が心の底から不快になるような最低の言葉」を言い放ち、それにピーーー音は被せるのは度を超えていて、単純に不快な演出でした。
 「いくら何でも酷すぎるよ! マッチの馬鹿!」
 激怒した千明の平手打ちがマッチに炸裂し、赤く反応するヘッドギア。
 え。
 ……いや、……え?
 あーあーあーあーあー…………いや、あの、ここまで、箸休めのギャグ回と割り切れば(流れが流れだけに素直に楽しみきれない部分はあったものの)、同じ穴でも真剣にストーリー進行しているつもりで真っ正面から落とし穴にはまっているよりはマシなところはあったのですが、相手に嫌われる為に故意に罵声を浴びせる → あまりにも酷すぎて引っぱたかれる → 悪意として受け取る、って支離滅裂すぎて、ヒューマギアはもう、真剣に滅ぼした方がいいのでは……。
 アークの意志のまま、人類絶対許さなーいモードに突入したマッチはカエルマギアへと変貌し(これも『ゴーバス』ネタといえばネタか)、そこに正体は案の定ペンキ屋だったペンギンレイダーまで乱入してきた事でアルトはやむなく変身。
 両者を蹴散らすアークゼロワンには1000%喧嘩好きでお馴染みサウザーが襲いかかるが、アーマーを解除し、剥き出しの素体となったゼロワンから放たれる分身キック・メタルライジングインパクトにより三者まとめて吹き飛ばされ、素体の上に貼り付いたイナゴの群れがアーマーと武装を兼用しているアークゼロワンの戦闘法はかなり好み。
 変身解除したペンキ屋は、結果的に暴走カエルから千明を守った形となって熱烈なハグを受け、それを見届けたカエルマギアは「ベストマッチ」の言葉を残して爆死。……よくよく確認すると、ダブル分身キックの直撃からペンギンレイダーをかばうように動いているようにも見えるのですが、うーん……マッチの一連の行動に次回なにがしかの説明が入る可能性はありますが、仮にマッチに幾ばくかの正気が残っていたりするとそれはそれでアークの格が落ちてしまうので、どちらに転んでも問題が発生するわけですが。
 ……まあマッチ、顧客に平気で失礼な事を言って煽る・明らかに無理のあるマッチング(天津社長)を設定する・レイダーの正体を暴くために罠を仕掛ける・人格攻撃といえる罵声を浴びせる・全てベストマッチの計算通り……? と、目的の為には手段を選ばぬ婚活マシーンと化しており、見方によっては既に暴走していたので、アークのプログラムに対して耐性が出来ていたのかもしれませんが。
 最近また隊長と代表取締役の癒着が激しいのですが、A.I.M.S.は改めて、徹底的に飛電インテリジェンスを洗った方がいいのでは……。
 これ以上、私をギャグの世界に巻き込むな、と戦闘続行するサウザーだが、前後左右からの連続攻撃でもイナゴの王には一太刀も触れる事ができず……果たして、アルトはこのまま悪意の濁流に飲み込まれてしまうのか?! でつづく

更新とレス

 久方ぶりのHP更新。
 〔『星獣戦隊ギンガマン』感想まとめ3〕
 剣将ブドー、そして黒騎士が登場し、ギンガの光を巡る戦いが加熱する第13~18話!
 本日は『キラメイジャー』感想を書きました。

3/29付けレス

◆ヘイスタックさん
 >さも当然のように出てきてますが、そもそも何故姿長官は記憶を消す装置だなんて物騒なものを所有していたのか……。
記憶の改竄ぐらい日常茶飯事、みたいな調子に思わずスルーしてしまいました(笑)
 >TLTより光戦隊の方がよっぽど闇が深い気がします(笑)
オーラパワーの過酷な訓練に耐えきれずに脱落していったマスクマン候補生達を(以下略)

◆hokage8ryuさん
 >今回釘宮さんが出演しましたが意外にも今作とルパパトのジム以外に特撮に出演経験はないみたいで意外でした。
流れとしては、これが縁でのジム起用だったんですかねー。
 >個人的な話ジュウオウジャーは話は面白いけどはまらなかった感じがしました。
好きな戦隊ですが、風呂敷を丁寧に畳んだ分、終盤の爆発力にやや欠けた、というのはある戦隊でしたね。

さあ走れ 俺達のエクスプレス

『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第4話

◆エピソード4「亡国のプリンセス」◆ (監督:坂本浩一 脚本:荒川稔久
 「仲間二人が大変くだらない内容(今回の邪面師は「ネアンデルタール」か「ネアンデルタール人」か)で揉めている間、我関せずと椅子に寝そべって洋書を読んでいる(フリをする)」とか「5人で並んだ際に一人だけちょっと斜に構える」のが、時雨にとっての“格好いい”……!
 ……思った以上に、破壊力高い設定だな時雨(笑)
 なお、クランチュラの発言から、ヨドン軍公式発表は「ネアンデルタール人」邪面でした。
 「じん」といえば、5体合体が「キラメイジン」なので、てっきり「スカイメイジン」と「ランドメイジン」だとばかり思っていたら、「スカイメイジ」と「ランドメイジ」である事が発覚し、魔法使いはイメージで神になるのです。
 白熱する議論を重役出勤の姫様が微笑ましく見つめる中、街に巨大な黒いキラメイストーンが出現。充瑠達が魔進で出撃しようとすると、「この目で直接確かめたい」と姫様がファイアーに乗り込み、(恐らく)劇場版と繋げてクリスタリア側の人間関係を整理しつつ、怒濤の姫様ヒロイン推し回で煌めこうぜ!
 「国を治める者にとって、一番はなんだと思う?」
 「うーん……」
 「みんなの輝きだ!」
 「輝き?」
 「人々を輝かせる事が出来る、素敵な女性になるんだよ。煌めこうぜ!」
 つまり、人民は搾取される事によって煌めき、高貴で偉大なる支配者はその奉仕によってますます煌めくのですねお父様!
 お花畑で幼いマブシーナと「年貢取ろうぜ!」「煌めこうぜ!」ポーズを決めるお茶目なお父様の姿が回想されつつ、市街地上空に出現した巨大な魔石が恐竜ヘッド付きの電車へと変形し、乗り物・恐竜+電車、と鉄板モチーフがぐいぐいと来ますが、こうなってくると、追加戦士は昆虫でしょうか(笑)
 「あれは、クリスタリアの王室専用列車」
 「しかし姫、あれはオラディン王以外生み出せない筈では」
 「その通りです。それが、どうして……」
 暴走する恐竜レッシャーはビル街へと突っ込んでいき、何とかそれを食い止めると、中から転がり出したのは三日月アーマーの中の人。
 「ガルザ!」
 オラディンの弟、マブシーナの叔父にして、クリスタリアをヨドン軍に差し出した裏切り者とされるガルザだが、姫様の批難を浴びると「ワタシハ、センノウサレテイタノデス」と無罪を主張。オラディン王は生きていると告げるも、再び闇の支配力が強まった事で恐竜列車に乗って姿を消してしまう。
 王室専用列車を根拠にガルザの言葉に希望を得る姫様だが、瀬奈以外の面々は否定的で、充瑠もスケッチブックを見つめて思案顔。去り際にガルザに何事か囁かれた姫様は、意を決して厳重に保管されていた白いキラメイストーンを持ち出そうとするが為朝に咎められ、今回もドライで現実主義の為朝(仲間の危険に敏感、ともいえますが)は、言い方にデリカシーが足りない。
 この辺りちょっと、第1話の戦闘時におけるレポーターの女性に対する振る舞いとズレがありますが、とりあえず初動のキャラ付けをわかりやすくしてみたけど(そういえば、『デカ』の立ち上がり、男性陣をまとめてナンパフォルダに突っ込んだのは今考えても凄い)動かしている内に違ってきたのか、他者と身内とできっぱり対応の変わるタイプなのか。
 時雨は、誰が相手でも基本的にスタイルを変えないのが信条とされましたが、為朝が身内に対する本音と外向けの建前を明確に区別するタイプなら、それはそれで面白そう。
 父王が生きている、と希望にすがる姫様は為朝と充瑠にノーブルキラメイフラッシュを浴びせて走り去り、姫様を追おうとするキラメイジャーだが街に邪面獣が出現。ネアンデルタール人邪面は直接登場しないも闇エナジーが貯金されており、それを使って邪面獣が出撃する変則展開で、別個体という特性を活用。
 地球に送り込まれた邪面獣はリアル魚介類を取り込んだ思い切ったデザインがインパクト強く、オーソドックスな型式のエピソードでの戦いも見たくなります(笑)
 白いキラメイストーンは、かつて姫様が地球に降り立った時にその身を包んでいた魔石(脱出カプセル?)の一部であり、その本体が残る山中の着陸地点で、姫様はガルザと対面。
 父親の事で頭が一杯かと思いきや、仲間の意見もあってか叔父への不審も残っていたらしい姫様はガルザを問い質し、ガルザは、クリスタリア防衛の為にヨドン軍と戦っている最中、ほぼ怪獣のシルエットで描かれるヨドン皇帝により洗脳され、オラディン抹殺の刺客として人形にされていたのだと陳述する。
 ヨドン皇帝を討つ為、白い石の力が必要だと訴えるガルザだが……ちょっと待った!
 そこに代役ンにキラメイジンを任せた赤が駆け付け、かつて自分が見た夢の中で、王を殺したガルザは笑っていた、と異議アリ! その証拠は、夢から覚めた直後に書き留めたこのガルザの絵です! と突きつけ、今回、この「夢」がだいぶ唐突なのは、劇場版エピソード0の要素という理解でいいのでしょうか……?
 推測はつくものの、充瑠がガルザを疑う根拠となるキーだけに、劇場版未見だとかなり唐突かつ強引になってしまったのは、残念。
 被告人ガルザは哄笑をあげるとキラメイレッドの異議を認め、充瑠とオラディンが遙かな宇宙空間を越えて共鳴していた可能性を指摘。
 「pixivの閲覧数なら私の方が上だった!」
 じゃなかった、
 「魔進を生み出す力なら私の方が上だった! だが弟というだけで、兄上の駒とならざるをえなかった! ヨドン様にこそが、この俺の真価を生かしていただけるとわかったのだ!」
 犯行を自白したガルザは、裏切りの真相を告げると共に三日月アーマーを装着し、日の光の下に出てきた三日月アーマーは、改めて格好いい。
 クリスタリア滅亡の真実は、嫉妬と憎悪に狂った王弟による反乱であった事が明らかになり、今のところ同情の余地のない動機付けとなったガルザですが、ねじれた悪意があるにしても「兄上の駒」という表現は穏やかではなく、また、マブシーナもファイヤーも「キラメイストーンにイメージを与えて変形させる能力」をオラディンしか所有していないと思い込んでいた事を考えると、もしかしてガルザ、塔に幽閉されて「おまえの描いたこれ、俺のサイン入れて発表するからー、次もよろしくー」みたいな扱いを受けていた可能性もあるのではないかとドキドキ。
 純粋に卑劣で卑小な悪役、でもいいですが、これからどんな肉付けがされていくのか悪役好きとしては楽しみなキャラ。
 同じ女性(後のマブシーナ母)を好きになったが、プレゼントしようとしたデザインを兄上に盗まれた(と思い込んでいる)過去、とか妄想が捗ります(笑)
 「だから兄上には消えて貰った」
 「じゃあ……お父様はやはり……」
 「死んだ。ふぁはははははははは!!」
 ガルザは改めてオラディンの死を断言し、これで本当に死んでいた場合、群がる戦闘員ポジションによってたかって撲殺された上に床を引きずられていった戦隊史上でも希に見る酷い死に様になりますが、果たして真相の真相や如何に(個人的にはまだ疑っています)。
 暗黒力を阻む白いキラメイストーンを渡せ、と迫るガルザに対して姫様はそれをきっぱりと拒否。
 「……渡しません。絶対に、渡すものか!!」
 ヒーローに同行し、父が生きているかもしれない事に心を乱し、毅然とした態度で敵を撥ね付け、八面六臂の姫様がサブタイトル通りの大活躍。
 姫様の心を弄んだガルザへの怒りに燃える赤が挑みかかり、『ルパパト』の戦闘シーンで用いていたカメラの応用か、映す対象や上下左右がコロコロと切り替わる忙しいバトルの末、マダイ怪獣の足止めを振り切ったキラメイジンが到着。容赦なくキラメイジンで踏みつけにしようとするキラメイジャーだが、ガルザが乗り込んだ恐竜レッシャーが、怪獣モードにキョウリュウチェンジ。
 「見よこの爪、この牙、チェーンソー!」
 あ、やっぱりそこは、チャームポイントなのですね。
 蒸気怪獣は紫がかったクリスタル部分の色合いが格好良く、魔進ジェット棒すら鋼の爪で弾き返すと大技を放つが、それは乱入してきたマダイ怪獣に命中。短気なガルザはマダイ怪獣に牙を向けると処刑を執行し、前回登場したばかりのキラメイジンを倒すわけにはいかないので、怪獣を瞬殺してクランチュラに派手なリアクションを取らせる事で脅威をアピールする苦肉の策。
 「お楽しみは先に取っておくとしよう。おまえらの処刑はこの次だ」
 目の前の巨大怪獣を木っ葉微塵にして気が済んだガルザは気分良く撤収し、白いキラメイストーンの事は完全に忘れているのですが、おじ様……。芸術家としては優れていたけど、社会性ゼロなのでは、おじ様……。と、色々心配になって参りました。
 姫様はメンバーに謝罪と礼を述べ、「身を引き締める思いです」とぐいぐい来られて照れる充瑠を皆がからかい、今回もほのぼの。
 「わたくしは、改めてお父様に誓います。あなたがたと力を合わせて、この地球を守り、人々を、輝かせる事を!」
 で、つづく。
 姫様とガルザの因縁、クリスタリアがヨドン軍に滅ぼされた顛末が語られ、戦いの背景が明らかになると共に姫様が正統派亡国のプリンセスの立ち位置を確固たるものとしましたが、最初にPVで見たときはデザインにギョッとした姫様、今やすっかり慣れてしまったので東映着ぐるみ芸は本当に恐ろしい(笑)
 ところで、お父様が頭からやたら大きな輪っかを生やしている事に今回の回想シーンで気付いたのですが、姫様の頭に乗ったカメの甲羅(にしか見えない)も、その内、巨大化するのでしょうか。……いや、翼のイメージなのかな、とは思うのですけれども。
 姫様&設定説明回としては過不足無い内容の一方、上述した「夢」の唐突さや、怪人も怪獣も倒さずカタルシスに欠ける変則構成など、第4話にして色々と強引に詰め込まざるを得なかったのは、近年の戦隊作劇のマイナス要素がまとめて煮込まれたといった感。
 恐らく、このタイミングで恐竜レッシャーを出さなくてはいけない事情があったのでしょうが、出来ればキャラ回を一巡りした後ぐらいにやってほしい内容だったな、と。第7話ぐらいだったら、変則構成も強敵の出現によるキラメイジャー&キラメイジンの苦戦も受け入れやすいですし、その辺りの綱引きの結果、ガルザ&蒸気怪獣の強敵描写が中途半端になり、キラメイジャー・キラメイジン・ガルザ、が皆揃って一両損になってしまったのは、残念でした。
 次回――為朝のターンは、シャベルに持っていかれてしまうのか?!